退院に同行しました。(在宅緩和ケアの一例)
2020/07/22
約2か月前に、ある患者さまの退院に同行しました。
患者さまの状態
大阪府内の病院に入院しておられた70代の男性の方でした。
癌の末期の方で、残された寿命が1〜2週間ぐらいと予想されていたそうです。
状態は良くないが家に帰りたい。
この方が、最後は家で過ごしたいと強く希望されました。
病状はあまり良くなく、血圧は 80 前後、SpO2(経皮的酸素飽和度)は 90-92% ぐらいの方でした。
状態が不安定ということで、普通は退院をあきらめてしまうような状況だったのですが、患者さまのご希望が強く、ご家族にも、本人の願いをかなえたいという気持ちがありました。
同行依頼
病院から家に退院するにあたり、その移動中に血圧が下がるなど、危険があると考えられたため、私に同行の依頼がありました。
無事に家に帰ってこれました。
移動の当日も、血圧も SpO2 もあまり良くはありませんでした。
でも退院を決行することとなりました。
予定通り、私が同行しました。
大阪府内の自宅まで、約30分の所要時間でした。
ストレッチャーで臥位のまま移動しました。
幸い、移動中何も問題は起こらず、無事にご自宅に到着しました。
車から降りて、何人かで布担架を使って、2階の患者さまのお部屋まで担ぎ上げました。
家には、人を元気にする力がある。
癌の末期の方でも、退院して、家に帰ってくると元気になられる方が多いように思います。
この方も、退院される直前はぐったりしていて、ほとんど話もされないような状態だったのですが、家に帰ってきてみると、数日はご家族や近所の人とけっこうお話をされていたようです。
家には、その人を元気にする力があるのかなと感じてしまいます。
ふだんの生活をすることが、その人を元気にするということなのかも知れません。
最期まで家で
退院後は、私たちが訪問診療・往診を担当しました。
各種の薬を使ったりして、痛みや息苦しさを和らげるようにしました。
徐々に体は弱っていって、結局、この方は退院のちょうど2週間後に息を引き取られました。
穏やかな最期だったそうです。
最期まで家で過ごせて、ご家族は喜んでおられました。
きっとご本人も喜んでおられたんだと思います。
思い切って家に帰ってみませんか。
現在入院中の方で、退院して、家で療養を続けたいと思っておられる方はおられませんか。
危険や心配なことがあるかも知れませんが、思い切って家に帰ってみませんか。
相談にのらせていただくことはできますし、当クリニックから 16km 以内の方であれば、具体的なお手伝いをさせていただくこともできます。